夜が遅かったこともあって、柿崎さんは泣き疲れて寝てしまった。

部屋を暗くして、私も自分のベッドに入りはしたけれど、目が冴えて眠れそうにない。


真夜中くんがせっかくくれたのに、猫のブックカバーにはまだ一度も本を挟んでいない。

あの日に彼に投げつけた文庫本、ちゃんと持っていてくれてるかな。

返して貰う時には、笑ってありがとうを言わなくちゃ。

きっと、もう真夜中の図書館で会うことはないけれど。


片方の肩に感じた重みを思い出して、私はまた少し泣いた。