深夜0時、キミと待ち合わせ。

柿崎さんは扉の前から動かず、何かを言いたそうに目を合わせてはすぐにそらした。


「あ、あのね、紗帆ちゃん……」

「な、なに……?」

「ののね、あの……」


言葉の続きが怖くて、耳を塞いでしまいそう。


“彼”の名前が出るのを、恐れている。


心臓の音、柿崎さんに聞こえていたらどうしよう……。


「あ……、ご、ごめん。何でもないんだぁ。のの、友達の部屋に行ってくるね?」

「は、はい……」


柿崎さんは話を中断し、曖昧に笑ってすぐに部屋から出ていった。

私は息継ぎをするみたいに、大きく息を吸った。

分かってる。
このままじゃダメだって……。