「し、新谷くん、どうしたの……?」
朝読書の時間。
シーンと静まり返った教室で、担任の先生がたまらず真夜中くんに声をかけた。
まるで、何か恐ろしいものでも見たかのような声色で。
「どうって?」
本を開いてぱっちり目の開いた真夜中くんは、首をかしげる。
「だって……、先生初めて見た。新谷くんが起きて本を読んでるの……」
寝て本は読めないはずだけど、よほど動揺しているのか、先生は自分の日本語のおかしさに気付かない。
男子を中心としたクラスの何人かは、面白がって真夜中くんをからかったけれど、本人は何も気にしていない様子。
最近、夜にちゃんと眠れているみたい。
真夜中の図書館に、きっと彼はいない。



