「はい、あったかーいココアだよ。これ飲むとホッとするよ?」
「ありがとう……」
私たちは寮の部屋に帰り、柿崎さんが食堂のポットで作ってくれたココアを受け取った。
熱いマグカップを両手で包む。
息を吹きかけると、甘い香りがふわりと漂った。
「おいしい……」
「ね。おいしいよね。ののね、このメーカーのココアが一番好きなの。知ってる?近くのドラッグストアにしか売ってないんだよ、これ。……じゃ、なくて」
ココア談義を始めようとした柿崎さんが、自らを制止させた。
「大丈夫?学校で嫌なことあった?」
「っ……」
心配するように覗き込む瞳が優しくて、また涙が出そうになる。



