…ここは東京、課長宅前。

今日は、子供達二人が同じ日に産まれた記念すべき日。

そう、誕生日。

仕事のお休みをもらい、雪は二人のバースデーパーティーに招待されたのだ。

プレゼントを二つ抱えて、玄関の前でチャイムを押すことを躊躇う雪。

…それも致仕方ない。

さつきの弟である琉偉が、来ていない訳がない。

「…ダメダメ。気にしていてもしょうがない。子供達の顔はみたい。お祝いしてあげたい」

そう呟いて、チャイムを押した。

間もなくして開いたドア。

子供達が雪を満面の笑みで迎えてくれた。

「…お誕生日おめでとう、二人とも」
「「…ありがとう!!!」」

二人に手を引かれ、中へと足を進めると、キッチンではさつきが料理の準備中。

課長はリビングにいて、雪を笑顔で出迎えた。

…?

琉偉の姿はどこにもない。

雪は、拍子抜けした。

「…雪、琉偉はまだ来てないのよ」
「…ぇ」

さつきの方を見ると、さつきは、困ったような笑みを浮かべた。

「…急な仕事が入って…でも、終わり次第こっちに向かうからって」

「…そうなんですか」

笑顔を絶やすことなく雪はそう返した。

ホッとしたような、ガッカリしたような。変な感覚のまま、子供達のバースデーパーティーは進んでいく。