ホストで、死んだ魚の目で。

ーでもサイカくんは、誰よりも楽しくなさそうに見えるよ?ー


確かに…
人生を諦めてた俺は、世間体なんか全く気にしてなくて。

結歌はそれを見抜いてたのかな…?

なんて思った矢先。



「ところで…」

厳かなひと言を皮切りに、空気が変わった。


「桜菜も居ない事ですし…

そろそろ、お話しておかなければと思います…」


意味深な言い回しが…
嫌な緊張感を掻き立てる。






「リビングウィル!?」


聞き慣れないそれは…

"尊厳死の宣言書"と呼ばれるもので、要は生前意思の事らしい。


結歌はそれを作成してて、その要望は…

【私が回復不能な遷延性意識障害(持続的植物状態)に陥った時は生命維持措置を取りやめてください】

といったもので。


意思表示が出来ない等の状態が3か月以上続く場合が、それに当たるそうだ。


元より、結歌のケースだと3ヶ月以内に意識が戻らない場合は、植物状態が永続する可能性が高いらしい。