「あなたは…
とっくにこの子の事を、諦めたんだと思ってました。

私は、あなた達の事で何も力になれず…
それどころかこの子には、ずっと我慢させてばかりで…

きっとバチが当たったんですねっ…
本当に、申し訳ないばかりです」


そう顔を歪める結歌の母親は…

虐待を防げなかった事をずっと後悔して、自分を責めて来たんだろう。


だけど。

"道哉も家族も傷付けただけだったよ!"
広部さんから聞いた、結歌の言葉。


「…

結歌さんはきっと、ご両親を責めるどころか…
心配をかけた事で、同じ気持ちを持ってると思います。

なので…
お身体を大事にされて。

どうか目覚めた時に、明るく迎え入れてあげて下さい」


結歌の母親は、口に手を当て数回頷くと…


「っ…、ありがとう、ございますっ…
あなたもどうか、無理をなさらずに…」

労いの言葉をくれて。


今日で30歳を迎えた俺は…
ささやかな誕生日プレゼントをもらった気分になった。