「仕事が忙しくて会えない時も、先生が寒くないように私が手袋を編んであげます」

「……そうですね。それも嬉しいけれど」

 今度は日向が、私に顔を近づけた。彼が囁いた言葉に、耳まで真っ赤になる。


「先生!」

「そういうことでしょう、あなたの告白は」

 焦ってポケットから抜き取ろうとした手を、日向は離さなかった。瞬時に指を絡められ、私はもう逃げられなくなる。

「証人もいることですし、もう逃げられませんね」

「……きっと一生敵いません、先生には」

 私の返事に、日向は破顔した。その貴重な表情を、この目に焼き付ける。