どれくらいそうしていただろう。いつの間にかまた雪が降り出していた。

「行きましょうか」

「はい」

 寒さで赤く染まった日向の手に、そっと手を伸ばす。繋がれた手を見て、日向ははにかんだ笑みを零した。

 ウールコートのポケットに繋いだ手を入れ、駐車場までの道を歩く。かろうじて見えていたアスファルトも、再び雪に消えようとしていた。

「先生、私こう見えて編み物得意なんです」

「へえ、それはまた」

「あ、ずいぶん乙女な趣味だと思ったんでしょう?」

「そんなことは……」

 せいいっぱい背伸びをして、何か言いかけた日向の唇を塞いだ。想いが溢れ出す。