君の隣でクリスマスを祝う

「駅からずっと、手を繋いで歩いてきました。雪が降る中丘を登り、このマリア像の前に来るとその人は僕の手を離して言いました」

 日向がふいにこちらを向いた。その瞳に、今にも溢れてしまいそうなほどたくさんの悲しみを宿して。

「必ず迎えに来るから、ここで待っていて、と」

 苦しくなって目を閉じた。慈愛園の二階、サンタクロースからのプレゼントを待ってベッドで眠る子どもの姿に幼い頃の日向の姿が重なる。


「その人の後姿はあっと間に雪の中に消えて、ぬくもりを失った手のひらはすぐに寒さでかじかんだ。僕の手は、その時からずっと何故か冷たいままなんです」

「先生、もう……」

 やめてください、という私の言葉は日向の声に掻き消された。