「木崎さん、クリスマスイブに仕事を休むことはできませんか? できれば、翌日も」

「え、二日間ですか?」

「そう、……無理かな」

「年内は差し迫った締め切りもないですし、上からは早めに有給を消化するように言われてますから、たぶん大丈夫だと思います」

 ただし、私と日向の関係を知る編集長から、また別の交換条件を迫られそうで怖いけど。

「先生こそ、大丈夫なんですか?」

 日向は今、月一の連載の他に、他社から春に出す予定の長編を執筆している。

「去年は一緒にいられませんでしたから」

 一年前、初めてのクリスマスは互いに仕事で、一緒に過ごすことができなかった。そのことを彼は、ずっと気にしていたのだろう。