「先生、一体何を見せてくださるんですか?」

「……魔法を」

「えっ?」

 思わず立ち止まり、日向の顔を見上げると、彼は至極まじめな顔をしていた。

「貴女に魔法をかけます。暫く目を閉じて」

 彼に言われるまま、きつく目を閉じた。ワインの酔いのせいか、体がふわふわと浮いているようだ。

「僕がいいと言うまで目を開けてはだめですよ」

「わかりました」

 再び、彼は私の手を取り歩き出した。