ペタペタとペンキを塗っていく。


二人になってペースが上がった。


ずっと会話がないなか、藤井さんが口を開いた。



「あんたさぁ、バカだよね。」


「え?」


手を止め、横で作業している藤井さんを見た。


でも藤井さんは手を止めず、言葉を続けた。


「それか、究極のお人好し。この前も仕事押し付けられてたでしょ。」


それを聞いて、藤井さんの印象が変わった気がした。


人のことをよく見ている、いい人なのかな?


「そこまで見ててくれてたんだね。」