「へぇ....大道具係って大人数じゃなかったっけ?他のやつは?」


悠斗の鋭い目が私を見つめる。


「みんな用事があったみたいで、今日は私一人なの」


今日は、を強調して言った。


変な心配はさせたくない。



「ふーん。斎藤さんたち.....だっけ?」


一回も斎藤さんたちとやるなんていってないのに....


私の友達が斎藤さんたちだからかな?


考えながら、家に向かって歩き出す。


悠斗はもともと無口だから、会話は少ない。


桜並木の桜は、もうほぼ花弁は散って、緑の葉が顔をのぞかせている。



何分か歩いていると、悠斗が



「気を付けろよ。」


と言ってきた。


「へ?」


なんだろ急に。


「どういう意味?」


私が聞いてもなにも答えず、


「じゃあな」


と自分の家に入ろうとしてしまう。


いつの間にか家についていたんだ。


私はまだ話してたくて、


「そういえば陽斗は?」


と話題を作って悠斗を引き留めた。