「その時はお母さんが出てきたから大丈夫だったんだけどね」
「よかった……」
絢香は心底ほっとした表情を見せた。
あの時のことは私の記憶に強く残った。
よく知らない男の人に連れ去られかけた、ということよりも、そんなサイトに私が勝手に登録されていたことに。
私はあの子達には確認しなかった。
これであの子達の口からそうだよ、と言われたら、人間なんて信じられなくなりそうだったから。
私がそんなサイトに登録したことも、学年中にいつの間にか広がって、さらに私の周りには誰もいなくなった。
そんな中でもそばにいてくれたのが、悠斗と陽斗だった。
そんな噂を気にすることなく隣にいてくれた。
しかもその日からまた危ないことがあるかもしれない、と登下校を一緒にしてくれた。
あの二人がいたから私は独りじゃなかった。


