「なに?私は泣いていないよ。」


それでも強がって上を向く。


陽斗のほうは見なかった。



涙がこぼれ落ちてくるから。私の醜い部分がこぼれ落ちてくるから。


「そっか...」



なにも聞いてこないのは陽斗の優しさだと思った。




そして、最後の花火が上がり終わった。


あちこちから拍手が起こった。



この拍手がどこかでこの花火を見ているであろう絢香と悠斗を祝福しているように見えて胸が痛くなる。





文化祭の終わりの花火。



私にとっては終わりの――――――。