どうして、絢香の好きな人を好きになってしまったんだろう。


「そういえば、絢香、すごいよな。」



「え?」



悠斗から絢香の話が出てびっくりする。



「俺、前に見たんだけど、運動会の前だったかな。廊下で絢香が斉藤たちにつめよって言ってたんだよ『同じことをする気か。』って。」



『藤井さん!どこ言ってたの?』



『別に.....どこでもいいでしょ。』



あの時、あんなこと言ってたけど本当は私のために立ち向かってくれてたんだ。



「あんときは誰かわからなかったんだけどさ......やっぱかっけーなあいつ。」



うれしいのに、悠斗が言うことで素直に喜べない。



そんな自分が嫌になる。


こんな醜いわたしを消したくなる。


この気持ちはなかったことにしたいのに。





『なんであんたが!』

『友達だと思ってたのに....』


『違う.....違う....!』




もうあんな思いはしたくない。


友達は失いたくないんだ――――。