一回立ち止まって体制を立て直すと、陽斗が片方の荷物を取った。
しかも、ペンキの入った重い方を。
「あ、重いからいいよ。」
「重いから俺が持つんですー」
伸ばした手はいとも簡単にかわされてしまった。
じゃあ代わりにこっち持ってと渡された陽斗の荷物はすごく軽かった。
「やっぱり私が....」
少し先を歩いていた陽斗に追いつきながら言うと、陽斗は眉毛を八の字にしながら振り返った。
「俺だってね、男なの。ちょっとくらいかっこつけさせてよね。」
「う、うん。」
なにも言い返せないような気迫で言われて思わずうなずいてしまった。


