【只今より、借り物競争です】


パアン!

パアン!



次々にスタートして、メガネやベルトや帽子、色んなものが借りられていく。


「借り物競争って紙に何が書いてあるかわかんないし、ドキドキして楽しいよね」

「あっ拓が走る!」



スタートした拓くんは
紙を拾うと辺りを見回している。


「あいつなんて書いてあったんだろ?」



そのまま拓くんを見ていると
数学の男の先生通称タコちゃんを引っ張って走ってる。


そしてゴールと同時に何故か怒られていて
観客皆もヤジを飛ばして盛り上がってる。



「あとで拓になんて書いてあったのか聞こうっと」



そう言った里佳の顔がウキウキしてて
私もつられて笑ってしまった。




そしてしばらくすると今度は功太くんの出番がきた。


走り出して紙を手に取ると
そのまま立ち止まってしまっていて


「功太くんはなんて書いてあったんだろ?」


里佳ときょとんと見ていると、
何故か私達の方に走ってきた。




「篠崎!一緒に来て!」

「えっでも私一緒に走れな…」

「俺の背中に乗って!!」




功太に急かされながら、
流されるままに功太くんの背中に乗った。