なんか今日、よく名前呼ばれるなぁなんて思いながら振り向くと、そこには息を切らした綾人が立っていた。
「あ、あやと?どうしたの?」
予想外の人物に、目を見開く。
「楓菜…お前さっきのやつと付き合う、のか?」
「え…」
「どうなんだよ」
あまりの形相に、答えるのを躊躇っているとそのままずりずりと迫ってきた。
「あの…その…」
口ごもっている私の態度を肯定と受け取ったのか、綾人は大きなため息をつきながらその場にしゃがみ込んだ。
膝の上に腕を組み、顔を伏せる。
「綾人?」
声をかけるときゅっと綾人の大きな手が私のブレザーの裾を掴んだ。
「…だったのに」
「え?」
綾人がボソッとなにかを呟いたけどうまく聞き取れなくて、聞き返す。
「……俺だって楓菜のことずっと前から好きだったのに」
「………っ!!」
…今、綾人が顔を伏せてくれててよかったかも。

