冷たい風がヒューっと吹く。
まだ手紙をくれた本人は来ていないみたいだ。
手のひらを擦り合わせながら、近くのベンチに座った。
ここ…綾人と仲直りした場所だ。
リストバンドをあげたらすごい喜んでくれたっけ…。
懐かしいなぁ。
「か、柏木さん」
目をゆっくりと閉じ、思い出に浸っていると声をかけられた。
目を開け、声がした方を向くと男の子がひとり立っていた、
確か、1年のときに同じクラスだった渡辺くん。
「遅くなってごめんね。
ちょっと先生に捕まって。
…僕のこと覚えてる?」
黒ぶちの眼鏡に男子にしては低めの身長。
ブレザーの袖からカーディガンが見えている。
天然でいじられキャラの可愛い男の子。
1年のときはよく話してた。
「覚えてるよ。渡辺くんだよね?
久しぶりだね」
そう言って微笑むと、渡辺くんは少し顔を赤らめた。