「嘘だろ…」


山川は力なく言いながらあたしを抱きしめて顔をあたしの肩にうずめた。

山川の背中に手を回す。


「嘘じゃないよ」

「まじで信じらんねぇ…
泣きそう…」


声があまりにも弱々しいから思わずふふっと笑ってしまった。


「蒼井…俺と付き合って」

「はい」


満面の笑みで答える。


きっと山川には見えてないだろうけど。


「幸せすぎて死にそう…」

「大げさだよ」


あたしがそう言うと山川は少し体を離した。


あたしの頬に手を当てる。


山川の顔が近づいてきて、そっとあたしは目を閉じた。


夕陽が教室を紅く照らす中、あたし達はそっと唇を重ねた。


冬がもうすぐそこまで来ていた。