年下のキミと甘い恋を。




甘くてちょっと苦くてまるで恋みたいだ、なんて思ってしまった。


〈選手の入場です〉


借り物競争の前のPTAによる綱引きが終わり、綾人たちが入場門から歩いてくる。


整列し、一走者目がスタートした。


私達の学校は生徒会種目に各クラス3人ずつ出場することができて、借り物を生徒会の人が確認してOKをもらったら次の人にバトンを渡すリレー式になっている。


綾人はアンカーみたい。


グラウンドのあちこちでメガネだとか、3年1組10番だとか借り物を探す声が聞こえてくる。


〈借り物の中にはひとつだけ好きな人もはいっています!
一体誰に当たるんでしょうか〜!?〉


そんなアナウンスに少し肩をびくつかせてしまった。


カフェラテを一気に飲み干して誤魔化す。


『もしかしたら楓菜に頼むかもな』


綾人の言葉を思い出して顔が熱くなった。


二走者目がバトンを受け取り走り出した。