あたしたちの距離はあと5センチ。
「ごめん…」
静かで辛そうな声。
その声の意味を考えてるうちに山川の唇があたしの唇と──
──重なった。
その瞬間、やっと体を動かすことができたあたしは山川の胸を押して無理やり体を離し、鞄を掴んで逃げた。
走って走って息が続かなくなって止まったのは学校の近くの公園。
子供たちが楽しそうに遊んでいる。
あたしは公園のベンチに座った。
……怖かった。
山川が知らない男の人に見えた。
ただ…嫌じゃなかった。
心のどこかで嫌じゃない自分がいた。
『ごめん…』
あの静かで辛そうな声が頭の中をまわっていた。
話し終えた莉緒は少し辛そうだった。
「莉緒は先生のことどう思うの?」
いきなりの質問に莉緒は不思議そうな顔をする。
「どう、って…?」
「莉緒が思うままでいいよ。
先生のことどう思う?」

