「……あ」
ドキドキしているのを悟られないように、と視線を落とすと渡辺先輩が手に持っていた本が目にはいった。
切ない恋物語。
私が大好きな本だ。
「ん?」
「そ、それ私も大好きなんです。
今映画化もしてて」
本を指さすと、渡辺先輩がパッとそっちに視線を向けた。
と、同時に離れる手。
手が離れたことが寂しく感じる。
「これ、映画化もしてるんだ。
はまったの最近でさ、知らなかったよ
映画も気になるね」
パラパラとその本をめくり中身を軽く見ると、微笑む渡辺先輩。
「あ、あの!よ、よかったら映画、一緒、に行きま、せん、か」
気づけばそう、口にしていた。
☆
1週間後。
今日は日曜日。
私は、学校の最寄駅にきていた。
渡辺先輩と映画を観に行くためだ。
約束の時間まであと10分。
ちょっとはやかったかな…

