戻ったと思って振り向けば、

そこには頭を抱えてあたしを見る三澤くんがいて、


大きな手が優しくあたしの涙を拭う。








「これもあいつの為の涙?」







上からそう言った三澤くんは、

そっとあたしの体を引き寄せ抱き締める。



佐野先輩とは違う匂い。







少し遠慮がちではあるものの、

その腕からは確かな優しさを感じた・・・。









「ごめんな」








もう終わったと思ってた恋。


届くわけもない、叶うはずも無かった恋。







忘れようとしてたのに、

離れていくあたしを引き止めるずるい先輩。



何度も何度も同じ繰り返しの中、

馬鹿なあたしはそれを信用してしまう。








これが嘘でも、これが夢でも・・・。




そう思ってきた。



だけど、本当の優しさに触れた時、

そんな事考える隙もないんですよね。









この腕から・・・三澤くんの言葉から、



確かな気持ちと優しさを感じたから_____…