「隣に今度引っ越してくるんだって」


「え、毎日隣にイケメンがいるってことなのか」


ひとしきりイケメンについて騒いだ後、あたしとお母さんは紅茶を飲みながら一服していた。


「なんか兄弟がいるらしくて、また挨拶に来るらしいわよ」


「それは兄弟もイケメンの可能性大」

超カッコよかったなぁ。
名前は何て言うのかな。


「ね、お母さんあの人の名前聞かなかったの?」


「黒崎さん」

「…下は?」

「知らないわよ」

「なんだぁ」


今度会ったら聞いてみよ!
話すチャンスが出来た!


「じゃあ勉強しようかな!」

「あら、どういう風の吹き回し?」


「イケメンの住むお家の工事音なら気にならない」

「現金な子ね…」


あたしはるんるんと鼻唄を歌いながら、2階の自室に戻った。