「こんにちは」

「こ、こんにちは…?」


な、なんだこの人?

超イケメンだ!

黒髪サラサラのイケメン!
しかも黒縁メガネだよ!

それで、めっちゃ背高い。

165cmのあたしが見上げるレベル。

見た感じ歳上かな。


「家族の方とか、いますか?」

あぁ、黒髪イケメンは声も素敵。

低めの落ち着いた声。


あたしがぼーっと見とれていて返事をしなかったらおーい、とばかりに顔の前で手を振られた。

「あっ!すいませんお母さんならいます!」

「呼んでもらってもいい?」


あぁぁ、突然のタメ口…なんかカッコいい。

「はい!」

一端ドアを閉めて、あたしはリビングまでダッシュした。


「お母さん!イケメン来たから早く玄関!」


「イケメン?」

怪訝そうな顔をしながらも玄関に移動するお母さん。

あたしはそれをリビングのドアの陰からそっと覗いた。


玄関を開けて、なにやら話したあとぺこりとお辞儀をしてさっさと戻ってきた。


「叶音」


そしてなぜか真顔のお母さん。

手にはイケメンにもらったのかお蕎麦の箱。


「はい?」

え、なにこの深刻な空気…





「…イケメンだった!!!」

「だよね!!!」



お母さんのレベルはあたしと一緒だった。