『今ここらへんで隣の市の奴と、ここ仕切ってる奴らがやり合ってるらしいの。
それで……見える? 左側の一番前にいる奴。あいつが今ちょっかい出して来てる隣の市の奴らの頭で、榊原慎斗……』



『…榊原、槙斗……』
あたしはその名前のたどたどしく繰り返す。


だけど聞いていてもよくは飲み込めず、ぼーっと聞きながら見ているだけだった。





『で、ここらへん一帯仕切ってんのが榊原と睨み合ってる奴よ。黒鷹…とか言ったかなぁ…』



“黒鷹”。その言葉に心臓がドクンとなり、一気に脈拍が速くなる。


由美子はふぅーと灰色い煙を吐いた。


















―――『梶貴鷹巳』……。