あたしは、煙草の匂いが好きじゃない。 嗅いだら、咳込んでしまうくらい。 だけど…唯一、大丈夫な人がいたんだ。 いつもお構いなしにあたしの目の前で吸っていた。 その姿が好きだった……。 鼻を掠めた匂いが、その人と同じだった…んだ……。 記憶が、覚醒してくる。 あの笑顔が近づいて、近づいて… パリンッ、と消えた。