「ごめん、俺……綾瀬にウソついてた」 ウソ……って? 私が変にドキドキするなか、速水くんがスポーツバッグの中からゴソゴソと取り出したのは…… なんと、折りたたみの傘。 「え、速水くん。傘、持ってたの?!」 「ああ。本当は俺、傘持ってたのに、忘れたフリしてた。俺……今日、どうしても綾瀬と一緒に帰りたかったから。 それで、今日絶対に自分の気持ちを、綾瀬に伝えたかったから……」 少し俯きがちに話してた速水くんが、顔を上げて真っ直ぐ私を見つめてくる。