速水くんは、私の歩幅に合わせてゆっくりと歩いてくれて。しかも私が、雨に濡れないようにしてくれて。
「綾瀬、雨濡れてない?大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう。速水くんこそ、濡れちゃってない?テスト前だし、体調崩したら、大変だよ!?」
「俺はいいの。体は丈夫なほうだし、それに、バカは風邪ひかないっていうじゃん?ははっ」
「えーっ、速水くんはバカじゃないよー」
12月のグレーの空の下。時折、冷たい風が吹き抜けて寒いけれど。
速水くんの太陽みたいな笑顔をそばで見ていると、心はポカポカと温かくなって。
大好きな速水くんと一緒にいると、さっきからずっとドキドキしっぱなしだけど、やっぱりそれ以上に楽しくて。
ああ。こうしてずっと、この人と相合傘してたい。ずっと一緒にいたいって、思うんだ──。



