「あっ、わりぃ。急に腕掴んだりして」 ぱっと、私の腕を掴んでいた手を離す速水くん。 「つーか、あまり濡れたら綾瀬、風邪ひくだろ?風邪でもひかれて、学校で綾瀬に会えなくなるとか俺、嫌だしな」 「えっ?」 速水くん、今……。 「……なんでもない」 何事もなかったように、前を向く速水くん。 だけど、その横顔はいつもより少し赤くなっていて。 私と学校で会えなくなるのは嫌だって、速水くんにそんなふうに思ってもらえてるなんて。嬉しいなぁ。