あたしの心を壊すのには十分な、エリの声。
「あああああああああっ!!!」
「マナっ!」
「嫌だああああっ!あああああああああっ!!!」
どちらが左右なのか、
どちらが上下なのか、
あたしが一体誰なのか。
抱きしめているのがカケルだってことしか、わからなかった。
「お願いカケル!
止めてっ…止めてっ…!
止めてよおおおおおおおおっ!!!!」
近所迷惑なんて四文字、頭になかった。
頭に響くのは、エリの言葉だけ。
「マナ。止めたよ。マナ」
ぽんぽんと、あたしの頭を撫でるカケル。
あたしは息が上がり、肩を激しく上下させていた。
「カケル…カケル…あああ……」
「そう。
俺はカケルだよ。
マナの彼氏だよ、マナ」
強く抱きしめてくれる、あたしの彼氏。
あたしは全体重を、カケルへと預けた。
「離れて、行かない、で」
途切れ途切れに、壊れたロボットのようにぎこちなく、あたしは呟く。
「離れないで、離れないで、離れないで。
愛して、愛して、愛して」
「離れない、離れない、離れない。
愛する、愛する、愛するよ……愛しいマナ」
ぎゅう、とあたしを抱きしめるカケル。
「だい……すき……」
どんなカケルでも、愛するわ。


