「……カケル、ありがとう」
閑古鳥の鳴く店内。
ポツポツしかない灯の下。
あたしはお礼を述べた。
「何が」
「あたしのために、このカフェ見つけてくれて」
メモを拾い、頑張って探していてくれていたことを知ったあたしは、この上なく嬉しかった。
メモを強く握りしめ、その場で涙を流した。
その時まで、不安があった。
イケメンで優しく、非の打ち所のないカケルが、あたしのような平々凡々女の彼女になって良かったのか。
だけどその出来事を境に、自信が持てるようになった。
カケルはあたしを、彼女だって思ってくれているって。
「……当たり前だろ。
お前は俺の、大事な彼女なんだから」
あの時と同じ席で、
あの時と同じホットコーヒーを飲むカケル。
「凄く嬉しいよ、カケル」
あたしもあの時と同じ、チーズケーキにオレンジジュースの組み合わせを頼んだ。
やってきたチーズケーキは甘く、オレンジジュースは濃かった。
この味は変わらないのに。
人は、あたしたちは、こんなにも変わってしまった。


