知っているのは、
カケルの本名と、
カケルが11月生まれのいて座だということと、
紅茶より珈琲派だということと、
青が好きだということと、
高校を選んだ志望動機は、制服が良いと思ったから。
その他にもいっぱいあるけど。
肝心なことを、知らない。
知っているのは、カケルの好みだけ。
カケルの過去の話も、
カケルのご両親の話も、
カケルの家も。
…プライベートなことを、あたしは何一つ知らなかった。
それでも気にしなかったのは。
今まで聞かないで“彼女”として歩んできたのは。
あたしはカケルの、“彼女”だったから。
誕生日にはプレゼントをあげた。
美味しい珈琲屋を教えてあげた。
デートの時は毎回目立つ場所に青をいれた。
制服好きなカケルのため、制服を着た放課後デートも何回もした。
『だーいすき!カケル!!』
プライベートも、
カケルの本性も、
何も知らなくても。
あたしは、カケルの“彼女”でいたかった。
カケルの傍で、笑っていたかった。


