「マナ、帰る時には連絡するのよ」
「……」
「マナ、ご両親を心配させちゃいけないよ」
「……わかったわ。
お母さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい、マナ。
カケルくん、またいつでも来てね」
「ありがとうございます」
助けて、とお母さんに手を伸ばせたら、どんなに幸せだろう。
笑顔であたしたち“恋人”を見送る、何も知らないお母さん。
その呑気さが、羨ましい。
「カケル、あたしをどうするつもり?」
「どうする?
それ、今更聞くかよ」
笑顔を消し、お母さんの前とは180度違う態度のカケル。
どっちが本当の、カケル?
「あたしを、殺すの」
「当たり前。
馬鹿なこと、もう聞かないでね。
…ああ。もう声も出せなくなるか」
ククッと喉を鳴らして笑うカケル。
逃げ出したくても逃げ出せない、
力強くあたしの手を握る、カケルの手。
さようなら。
お母さん、お父さん。
あたしは、マナは。
――きっと生きて帰れないでしょう。


