「お母さん、お帰りなさい」
台所で買って来たらしい野菜を冷蔵庫にいれていたお母さんの背中に、話しかける。
お母さんは振り向き、パッと顔を明るくした。
「まあどうしたのマナ、彼氏?」
「そ…そう」
「まあまあ初めまして、マナの母です」
「マナの彼氏のカケル、と申します。
勝手にお邪魔しちゃってごめんなさい」
「別に構わないわよ。
もしかして、マナが心配で来てくれたの?」
「ええ」
「本当にありがとうございます。
エリちゃんはマナの1番の親友だったものねぇ。
カケルくんがいて、心強いわ」
「そうですか?
いやぁ、マナのお母様から言ってもらえるなんて、嬉しいなぁ」
照れくさそうに頭を掻くカケル。
自慢の彼氏。
もし、“彼氏”だったのならば。
「カケルくん、
折角(せっかく)だから夕ご飯召し上がって行かない?」
お母さんの言葉に、ドクンッと心臓が嫌な音を立てる。
お母さんお願い…止めて。
カケルの表の笑顔に、騙されないでっ!


