頬は痛い。
だけどあたしは、カケルから離れた。
カケルの口から、盛大な舌打ちが漏れる。
早く…早く…逃げなくちゃ。
殺されちゃう。
あたしは部屋の入り口へ向かおうとした。
「…逃がすわけねぇだろ、アホ」
「ッ」
扉の前に、カケルが立つ。
――手にナイフを持った、カケルが立った。
きらり、とナイフの刃先が輝いた。
「さっさと俺に殺されておけ、ゴミが」
「カケル……」
「チッ。
俺の名前、気安く呼ぶんじゃねぇよブス」
「あたしを好きだったのは…嘘だった?」
カケルは鼻で笑い、手でナイフを弄(もてあそ)んだ。


