「マナ」
「うん?」
「悪いんだけど…トイレ…あっ。
お手洗い貸してもらっても良いか?」
「そんなにかしこまらなくて良いよ。
トイレぐらい貸すよ」
「サンキュ。
思えば俺、マナの家来るの初めてだったからさ。
マナのご両親に挨拶しねぇでズカズカ入りこんで…」
「気にしないで。
また今度ゆっくり言えば良いよ。
それよりトイレ、行って来たら?」
「悪いなマナ」
「あっちだよ」と軽く案内し、カケルが扉を開けたところで、
改めてカケルに感謝した。
そうだよね。
いつまでも泣いていたら、エリが哀しんじゃうもんね。
エリのためにも生きて、笑わないと。
いつか再会した時、胸張って自慢出来るように。
「……あっ」
カケルが座っていた位置に落ちていた、イヤホンと同じ色の音楽プレーヤー。
いつもズボンのポケットに仕舞っているから、立った拍子に落ちちゃったんだろうな。
あたしは拾い上げ、手に収めた。


