クリスマスまで残り一週間。
俺が住む家、つまり入家宅にあの男がやってきた。
「いらっしゃい、春海君。」
「ああ、邪魔するよ」
背の高い例の男にとって、この家の造りは合ってないみたいだ。
潜るようにリビングに入ってくる。
「ああ、弟君、いたんだな。」
「そうなの、ごめんね。」
……ここは俺の家で、休日に家にいることがなぜ、ごめんね なんだ?
長門 春海がソファでテレビを観ている俺に近づく
「よう、久しぶりだな?」
「……こんにちは、長門さん……」
「ああ。元気か、ユズキは?」
当たり前のように 二言目は先輩の話。
「……会ってないんですか?」
「……毎日、会うわけじゃねぇよ。オレ、バイト忙しいし、なあ?」
知るかそんなこと……
……っでも、会っては無いのか、先輩と……
「……元気ですよ。」
「ふーん、変わってなかったのか。」
どういう意味だろう?
確かに、俺は先輩に告白したわけだし変わったと言えば変わっている。
でも、それは俺に対する態度なわけで。
長門 春海は関係ないはず。
それとも、長門 春海に言ったのだろうか?俺が告白したこと。
ふーん、ありえない話じゃないが、
先輩は言うかなあ?そういうの。
「何話してるのー?」
姉の呑気な声がキッチンから届いた。
どうやら、お茶を入れていたみたいだ。
「なんでもねえよ。」
そう言いながら男は俺から離れて
ダイニングテーブルに腰掛けた。