こんな言い合いをしていると、楓が冷めた目を向けてくる。


「朝から、何言い合いしてるの……」


そう言った楓は、大きな溜め息をつく。


「ちがっ、皐月が……っ!!」

「はぁ? 何、人のせいにしてんだよっ! 夏菜が意味分かんねーことを……っ」


皐月がそこまで言った時、楓が、「はいはい、二人とも相変わらずのガキねー」と言いながら歩いて行く。


「ガキじゃない!」

「ガキじゃねぇ!」


二人は見事にハモったあと、「真似すんなっ!」というところまでも、息ピッタリに合ってしまった。

そんな私と皐月を見ながら、楓は、くるりと振り返る。


「早くこっち来なよ。遅刻するよー?」


そう言いながら笑っている楓に、「今行くから待ってー!」と言う。



いつもと変わらない朝。

この関係が、いつまでも続いてほしいと、切実に願った朝だった……。