「どうして皐月くんがここに……っ」
「いつも帰ってくるのが遅ぇからな。いつも待ってたが、もう我慢できなかった」
西原の言葉に、皐月はそう答えた。
「夏菜に手ぇ出すのやめろ」
そう言った後に一言。
「テメェーら、殺すぞ」
これを言った皐月の顔は、今までに見たことがないくらいにキレていて、今までに聞いたことがないくらいに低い声だった。
でも、この顔、この声を、聞いたことがないわけじゃない。
昔、私たちが小学生だった頃に、一度だけ聞いたことがある。
確かその時も、私がいじめられている時に、皐月が助けてくれて……。
で、いじめてきた子たちに、『夏菜に手ぇ出したら許さない』って、言ってくれたんだっけ?
そんなことを思い出しながら、私は思った。
いつもは、憎たらしい顔で、私の事をおちょくったりしてくるけど、いざとなったら、助けてくれるのは、いつも皐月。
やっぱり……
「私のヒーローは皐月だけだよ……」
私が小さな声でそう呟くと同時に、西原はヒステリックに叫んだ。


