勢い良く駆けていく少女を一人で、見えなくなるまでずっと見続けた。


そして俺はそのままの状態で、この一連の流れをずっと見ていたであろう奴に声をかける。


「お前、盗み聞きって、イイ趣味してんじゃん」


俺がそう言った今、あいつはきっと、バレてないと思ってたから、肩を跳ね上がらせているのだろう。


「ほら、もう分かってんだから、呆けても無駄だぞ? ‥‥‥茉莉」


俺がそう言うと、相手は観念したように、「どうして分かったの‥‥」と、少しバツの悪そうな表情を浮かべた。


「なんで盗み聞きなんかしたんだ?」

「いや、これはほんとに偶然で‥‥‥」


茉莉は、左手を首に当てながらそう言った。