しかし、今回は違った。 父さんは、いい顔をせず、“うん”とも“いいえ”とも、何も言わなかった。 父さんは、悩んでいる。 父さんは、悩みだすと、眉間にシワを寄せ、無言になり顎に手をやるのだ。 母さんの気持ちも理解できる。 だけど、それを許すと……。 「聖?」 母さんが言うと、「考えさせてくれ」と言って、父さんは、部屋から出て行った。 「あー、父さん、行っちゃったわねー」 いつもどおりに笑う母さんを見て、私は、今のこのよく分からない感情が、更にごちゃごちゃに掻き回されたような感じだった。