私はそれを持ち、リビングへと向かう。 「じゃあ、今から行ってくるね」 私がそう言うと、「これ、行きながらでもいいから食べなさい」と、おにぎりを渡してくれた。 お礼を言いながら受け取って、私は家を出たのだった。 ……まず、私が向かうのは優太の病室、ではない。 今向かっているのは…… 「いらっしゃいませ〜」 そんな声とともに、甘い香りが醸しだされているところ。