*心side*



華美ちゃんと別れたあと、こころはママに迎えに来てもらうように頼んでから、店の中を1人でブラブラしていた。



…さっき、華美ちゃんに話したこと。



半分本当で半分ウソなんだ。



優と別れたこと、後悔してないなんてウソ。



本当は、すごく後悔してる。



だって、会いたいと思っても、もう会えないから。



きっと、病気が治ることだってあると思う。


だけど、どうしても助からない方向ばかり考えてしまう。


もし、助からなかったら?



そう思ったら、とてもつらくて。



本当は、別れたくなかった。


病気のことを話して、「そばにいて」って伝えればよかったな。


いやいや。



それはダメだよ。



優はまだまだ先があるの。



こころにもあるかもしれないけど。


それは、もしかしたらで。


優には、確実にあるの。



優の人生はまだまだ続いていくの。


こころなんかのために、優の大切な思い出の1ページを空白にはしてほしくない。


こころの病気を心配するページじゃなくて


楽しくて、幸せに笑ってるワンシーンを、思い出の1ページにいれてほしい。



そう自分に言い聞かせて、こころは優に別れを告げたの。



そのこと、忘れないで。



後悔なんかしないから。



絶対にしないもん。


優のためなら。



こころは…この想いなんて封じ込めるよ。



優は、もっとステキな彼女を見つけて、幸せに暮らしてよ。



こころは、悲しくなんかないから。



うらやましいなんて、絶対に思わないから。


その彼女に、ずるいなんて言わないよ。


優は、笑ってて。



こころのことなんてすっかり忘れて。