こういう時、優人と結婚したことを後悔する。

 だけど、法事が終わり、優人と暮らす家に帰ってくると、その気持ちは薄くなり、気の迷いだったのかもと思えてくる。

「あまちゃん、今日もありがとね。本当にお疲れ様」

 労いの言葉と共に、優人は私を背後から抱きしめた。慣れない親戚付き合いで疲れた気分が、この時やっと少しだけ落ち着いた。

 あまちゃん、とは、私の旧姓「天使(あまつか)」からきたあだ名だ。

 優人は結婚後も私をそう呼んでいる。義親をはじめ人からはおかしいとつっこまれるけど、私達は気にしていない。本人が呼びやすいように呼べばいいと思う。

「優人もお疲れ様」

 優人の手に自分の手を添え、私は彼に身を預けた。

 子供のこと言われた時、フォローしてほしかったんだけど。ーーその一言を飲み込む。

 結婚して、多少の不満が出てくることは覚悟してたはずだ。このくらいで文句を言っていたらやっていけない。

 それに、不満や我慢はきっとお互い様。

 子供を産みたくない、産むのがこわいという私の思いを理解してくれたからこそ、優人は現状を貫いてくれている。結婚当初、彼は子供がほしいと言っていたのに。