服を着たらしっとりした空気を壊してしまう気がしたので、私はしばらくシーツを巻いたままの格好でいた。
「どうかな?」
並河君に促され、その格好のままキャンバスの絵を見せてもらった。
これが並河君の実力。ありきたりな感想になってしまうけど、率直に言って感動した。
目を見張るほどリアルで繊細な色彩。人物画は苦手と言っていたのが信じられなかった。
「私だけど私じゃないみたい……。別人みたいに綺麗な気がする。奏詩の目にはこう映ってるの?」
「そう。俺の心が映す詩織をそのまま描いた」
並河君は言い、私の肩を抱くと唇へキスを落とした。いつもより長いその触れ方に、ホッとする。
「……理性と欲望の狭間で気持ちをかき乱される。そんな感じだった。全てをさらけ出して、詩織は俺を欲しがるから……」
「そんなことない……」
そんなこと、あった。
湿った秘部が、さらに湿り気を帯び熱くなる。並河君に抱かれたくて、そういう場面を想像した。触れられないことがもどかしくもあり、それでいて気持ちが重なるあの瞬間に心は深く満たされた。
「……詩織の心が見えたよ」
「奏詩の心も見えたよ」
私達は抱き合わない。だけど抱き合う。これから先、何度でも。キャンバスを通し、心の中で。


