セカンドパートナー


「奏詩って呼んで?」
「……え?」
「名前で呼んでほしい。せめて、ここにいる時だけは」

 並河君の目は切なげに曇り、そして、愛欲の情に満ちていた。

「そ、……奏詩」

 呼んだ瞬間、心の距離がもっと縮まった気がした。

「詩織」
「奏詩」
「可愛いよ、詩織。その顔、誰にも見せたくない」
「……」

 本当に、並河君に抱かれているみたい。触れ方は優しいのに終始激しく求められている。

 嬌声が出そうになるのを、何度も何度も我慢した。絵を描きながら、並河君は何度も何度も私を抱いた。宣言通り、キャンバスの中でーー。


 数時間して、絵は完成した。

「ありがとう。詩織。お疲れ様」
「うん。奏詩もお疲れ様」

 優しく私を抱き起こし、並河君は予備のシーツを私の体にそっと羽織らせた。

 ものすごく長かったのに、終わってみるとあっという間だった気もする。キャンバスを離れると、創作中のあれがウソみたいに、並河君は普段通りだった。

 ベッドに横たわった時間が濃厚過ぎたのか、それが終わった今、少しだけ寂しくなる。心地よい疲労感が全身にはりついた。